一言で円高に、また一言でショートカバーを作る男
浜田宏一はまだ こういち 浜田参与。日本の経済学者。専門は国際金融論、ゲーム理論。東京大学名誉教授、イェール大学名誉教授、Econometric Society終身フェロー。 専攻は国際金融論ゲーム理論
13日夜のBSフジの「プライムニュース」での浜田参与発言で為替相場が激震。
「120円はかなり円安。105円ぐらいが妥当」
この発言が、海外メディアに翻訳されると一気にドル円は下落。特に経済指標もない中途半端なタイミングで急激に円高に振れたので、その瞬間は誤発注か、何か大きな地政学リスクが生じたのではと投資家の間で衝撃が走りました。
さらに浜田氏は14日、ブルームバーグの取材に対してこのようにも発言しました。
「一般的にこの辺ではかなり円売の限界にだんだん近づいているんだというシグナルを流すことは悪いことではないと思っている」
「125、130円になるだろうと思っている人は、ある程度本当かなと注意しなくてはいけないんだろう」
ドル円チャート*4月15日深夜時点
そもそも浜田参与とは何者なのか?
- アベノミクスの立役者
- 安倍首相のブレーン
- エコノミストの片岡剛士は「浜田氏の名前を知らない経済学徒は『もぐり』である」とまで表現
- 元日銀白川総裁の師匠、他にもお弟子さん多数
海外投資家の動向が鍵と再確認
発言一つでここまでチャートを変えてしまうという影響力の大きさもさるものながら、リアルタイムでいうと彼の発言の直後に為替がすぐ反応したわけではなく、翻訳され、海外メディアに取り上げられてからの下げだったので、やはり海外投資家の資金がいかにドルに対して大きな割合を占めているかも伺えます。
この発言への質問に麻生財務相回答
浜田参与の1ドル120円は円安すぎるとの発言について麻生財務相は為替に関する質問には答えないと回答。
その後、ロイターのインタビューで今度は円安容認?またも確信に迫る回答を連発
- 物価上昇率が鈍化していても、日銀の追加緩和はまだ要らない
- とはいえ4月末の日銀金融政策決定会合での追加緩和に強く反対することもないw
- インフレを起こすのは国民に対する課税だから、できるだけ避けたい
- 120円程度までは良いが、それ以上どんどん125円、130円となると購買力平価との差が非常にはっきりしてくる。為替はいろいろな要因で振れるので、購買力平価と等しくなくてはならないということはないが、あまり購買力平価から離れると投機筋が仕掛けてくる可能性がある
- 通貨戦争という概念は、変動制の下においてはほとんどない、これが私の一生かかってやってきた学問の答えであり、譲れない
- 消費税増税は仕方ないが、法人税は安くするべき。消費税増税の為にも金融緩和はしっかりやっておくべき
ソース:ロイター
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPKBN0N515B20150414
このタイミングでの彼の発言の真意は?
ところで、彼がなぜ今このタイミングで円安牽制、120円に上から叩きを入れたのかの真意を探ってみたいと思います。彼はアベノミクス政策の中でも非常に重要な人物で、安倍総理のブレーン、ということは選挙期間などの状況も理解しているはずです。単なる円安批判、政策批判ではなく、限りなく何か意味があるはずです。
日経平均が一時的とは言え、15年ぶりに20000円に触れたことでやや加熱した報道や、投資ブームの空気感に警鐘を鳴らしたのか?
または来月5月のアノマリー、セルインメイを睨んでの要注意勧告なのでしょうか?
浜田参与は基本的な発言に関してブレない人物でありますので、意味もなく勢いで発言した105円ではないとの見解が正しいような気がします。単純に言葉の意味を素直に受け取れば、ドル円はもう少し調整が必要だとの認識になります。ここ数年、ドル円のロング(買い)で儲けた人はそろそろ手仕舞いして落ち着いた方がいいという、彼からの優しさなのでしょうか?
結果的にも、彼の発言前まで勢い良く駆け上がっていた円は買い戻され、この記事を書いている今ではドル円チャート119円の前半にその値を置いています。
相場全体が、浜田サプライズで様子見をしながら、力強さを失い、牽制しあっているようなムードです。また、相場は今回のケースでわかる通り、ちょっとしたきっかけで乱高下したり、一方通行な流れになりやすいので、投資の際の資金管理は常に余裕を持って、安全な取引を心かげていただけたらと思います。