マイナス金利は栄養ドリンク。その効果が切れた後は?『節分天井、彼岸底』

日本初のマイナス金利政策発表から数日

 

サプライズ好きの黒田総裁の口からマイナス金利導入が発せられて数日、市場は大きな反応を見せ、方向感を探るような展開が続きました。今回の「マイナス金利」は日銀と各金融機関における金利の話であって、個人預金利子がただちにマイナスになるということはないのですが、一部ツイッターなんかでは、これに乗じた詐欺が流行るぞなんていう書き込みもありましたが、ありえない話ではないなとか思ったりしながら、相場の混乱を眺めていました。

2%の目標にとらわれる日銀

日銀は2013年4月に『黒田バズーカー』という名称でお馴染みの量的・質的金融緩和を導入しました。株価は御存知の通り急上昇し、その恩恵を受けた方も多いかと思います。しかしながら、いつまでもその効果が続くこともなく、現在の消費者物価指数は、上昇率がほぼ0%に…。原油安の影響との説明の上で「2016年度後半」だった達成時期は「2017年度前半」になるとの予想に変更しました。なんとしても2%達成を目標に掲げる黒田日銀のシナリオにある種の影が見え隠れする達成不安から、さらにこのマイナス金利にふみきったわけですけど、これは日銀そのものが焦り始めているという事なんだと思っています。

日本では初のマイナス金利、他国は?

マイナス金利と言えば、まず浮かぶのがユーロ圏や欧州地域です。現在、ユーロ圏、スイス、スウェーデン、デンマークでマイナス金利が導入されています。日本では耳慣れしないマイナス金利という言葉ですが、この政策自体は奇をてらったものではなく、割りと世界レベルでは一般的な金融政策の手段かと思います。デフレの問題を抱えている国に多いというのも特徴かもしれません。マイナス金利という政策ではなく、この1月下旬という時期での突然の発表が日本市場に影響を及ぼし、世界の投資家達にも衝撃的に捉えられたという事ですね。

今後の展望というか予想

一番気になるのは今後の市場予測という部分なのですが、僕個人的な意見としては発表後の週明け市場だけをみると日銀マイナス金利導入は、まさに栄養ドリンクのように瞬間的な投資家心理の変化を及ぼすには十分だったのかなと思っています。発表後は円安・株高が進みましたし、ドル円に関してはあっという間に121円台を突破、その後はある程度ポジション整理や売り狙いなども集まったものの、120円上は今もキープして推移しています。円安は企業の業績改善への影響をおよぼすだろうという憶測から株価も一時の底なしの下げの状態からは一服したような気配を見せています。

ただ、今年に入ってからのあれだけの大きな下げを、この金融政策だけですべてひっくり返せるかというと少し疑問が残ります。また、チャート的な部分でみても、大きな下げ基調の際は一度のリバウンドで戻り切ることは経験上少なく、やはり2番底、ヘタしたら3番底位まで確認してから、空気感が変わってくるのではと考えています。

僕、個人的にはアベノミクス相場の開始から、大きく買いに入ったり為替においても大きくポジションをとって強気なトレードを繰り返してきました。しかしながら今回のマイナス金利政策からの市場変化や動きは少しだけ距離感をとって眺めておこうと思っています。

まとめ

『休むも相場』という非常に良い言葉がありますが、『節分天井、彼岸底』の言葉の通り、今回の上昇を年初からの下げの半値戻しとして考えると、まだ下への力は強くのこっているのではないかなと考えています。